猫の額より尚狭い

適当に書き散らしていけたらいいと思います

世界一面白い漫画ゴールデンカムイの話をさせてくれ(その1)

この世界には星の数ほどの漫画がある。

その中で最も面白い漫画を知っているだろうか。

そう、週刊ヤングジャンプで連載されている和風闇鍋ウエスタン『ゴールデンカムイ』である(個人の感想です)。

 

その精緻な構成力、魅力的なキャラクター、圧倒的な画力、入念な取材に裏打ちされた正確な風俗描写、抱腹絶倒のギャグ、どれをとっても一級品以上。後世に漫画の教科書として受け継がれていくことがほぼ確定している大名作である。我々は野田サトルという稀代の天才と同じ時代に生まれ落ちたことを感謝しなくてはならない。そしてこの『ゴールデンカムイ』という伝説の終わりをこの目で見届けられることにも。

 

そんな歴史に残る超名作『ゴールデンカムイ』はなんと現在前代未聞の全話無料開放中である。今まで名前しか知らなかったが、この機会に初めて読んだと言う人も少なくないだろう。もしまだ読んでないと言う方がいたら、あと1か月ほど(8月23日現在)で無料キャンペーンが終了してしまうので急いでもらいたい。そして共に見届けてほしい。漫画の歴史が変わる瞬間を。

 

さて、前置きはこれくらいにしてそろそろ本題のゴールデンカムイ語りに入っていきたい。

一般的にはラッコ鍋とかウコチャヌプコロとかのエピソードが良く知られているが、ゴールデンカムイという非常に多面的な魅力を持つ漫画をそれだけでわかった気になるのは惜しい。もちろん本作のギャグ描写が秀逸なことは疑いようもないし、ギャグだけでも覇権を取れるポテンシャルを秘めていると思う。

だがやはりゴールデンカムイの真骨頂は、アイヌの伝承や雄大な自然の営みと魅力的なキャラクターが織り成す人間ドラマが交錯した瞬間だと私は思う。

 

杉本とアシリパ大雪山の麓で鹿の皮に包まれながら語り合うシーンはまさにこの作品の“核心”であり、戦場に心を置いてきたままの者の悲哀や魂の触れあいによる救済が描かれた名シーンである。

 

まあ、日ロ国境線での尾形VSヴァシリの狙撃手同士の死闘は本作のベストバウトの1つであり、ウイルタ民族の棺を囮の囮にした頭脳戦には心底痺れた。その土地の風土や文化を単なる部隊設定で終わらせず本筋にゴリゴリに絡めていく野田先生の手腕には脱帽するしかない。

 

そういった意味で私が好きなエピソードが、単行本11巻に描かれた稲妻強盗と蝮のお銀編である。このすぐ後に例の姉畑支遁が登場するので少し影は薄いが、個人的にはこの一連のエピソードこそ『ゴールデンカムイ』の魅力が濃縮されていると思う。

 

凶悪な強盗夫婦「稲妻強盗」こと坂本慶一郎とその妻のお銀。凶悪な2人がボニーとクライドさながら暴れまわる様は痛快でもあり恐ろしくもあり。(ちなみに2人のモデルは実在するようですが実際には出会ってないらしい。本当に出会ってたらヤバすぎる)

刺青人皮を狙う2人と第七師団との対決がこの巻のメインなのだが、その合間合間に挟まる尾形の過去編や杉本一行と巨大蛇との遭遇のエピソードが本筋をより引き立てる構成となっている。

 

アシリパの語るウエペケレ(民話)があまりにもこのエピソードにマッチしすぎていてもしや野田先生の創作か?と疑ったほど。どんなに苦しくても愛する人と一緒にいることを選んで地に堕ちた蛇と稲妻、ゴールデンカムイの最推しcpの1つです。

入り組んだ油問屋の構造を生かした立体的な立ち回りも非常に良い。どうやらこの建物は実物があるようなのでいつか実際に見に行きたいところ。

 

そして何よりこのエピソードはオチが素晴らしいんだよな…。愛する慶一郎と一緒に死ぬことを選んだお銀。大事そうにおぶっていたその背負い袋の中身は、刺青人皮ではなく2人の子供だった。

稲妻と蝮は凶悪な犯罪者だったが、愛情深い親でもあった。そして子供を保護した鶴見中尉は、その子をアシリパの祖母に託す。アシリパのおばあちゃんが歌う子守唄でこのエピソードは幕を閉じるのだが、そのシーンに尾形が描かれているというのも何かを予感させられる。

親の愛情を受けられずに大人になった尾形と、凶悪な親の子供でありながら愛情を注がれて育っていく赤ん坊との対比がね…もう…(語彙力低下)

一見無関係かと思った尾形の過去がこういう形で結末に結びつくのか!?というカタルシスが本当に素晴らしい。まさに計算しつくされた構成と言っていいだろう。

 

このほかにも最高のエピソードは数えきれないほどあるのだが、とりあえずそれは次回のゴールデンカムイ語りに回すことにする。次回はゴールデンカムイの子の宗教画がすごい!!選手権とかギャグとシリアスの温度差でグッピー死ぬわグランプリなどを予定しているのでぜひ楽しみにしていてほしい。

新劇場版しか見てないけどシンエヴァの話していい?(※ネタバレ有)

いいよ!!!!!

 

ということで話します。見てから3日経ってるけど。

 

 

端的に言って今回めちゃくちゃ好みでした。

普遍的な人間の物語という感じで。

 

正直エヴァってよくわからないしあんまり好きじゃないな…と思ってたんですよね。

シンジくんをどれだけいじめたら気が済むんだよ!!この悪魔!!とか思ってたけど全然そんなことはなかった。ていうかむしろもっと悪魔っぽい作品いっぱいあるし(何とは言わんけど進〇の巨人とかチェーン〇ーマンとか)。

そういう真正の悪魔クリエイターに比べたら庵野秀明はめちゃくちゃ人間味あふれてるじゃん。むしろ人間味しかない。

今考えるとこの物語は別にシンジくんをいじめたくて作ってたわけじゃなくて、監督自身が感じてる世界の生きづらさをそのままシンジくんに代弁させてただけなんだな…なんてそんなこと今更気づいたのかよとか言われそうですが。

 

まだ何も知らない子供がわけもわからないまま辛い現実に放り込まれて立ち止まる時間も与えられず選択肢も選べないまま傷ついていく…みたいな話がすごく苦手なので、今回の『シンエヴァ』はシンジくんにゆっくり自分と向き合う時間があって本当によかったと思います。

シンジくんなんだかんだ言っても本当はめちゃくちゃ強い子だし、感傷に浸る時間と見守ってくれる大人さえいれば1人でも立ち上がれるんだよない。今まではそれらが不足していただけで。

 

にわかもにわかなんで深いことは全く言えないんですけど、現実と向き合う勇気をくれるし、人間と関わることって本当に素晴らしいことだと思わせてくれる映画でした。

別にエヴァにそこまで思い入れないはずなのに、なんか最初から最後までぐっちょぐちょに泣いてしまった。なんならアヤナミ初期ロットが田植えするとこでさめざめ泣いてた。あまりにも幸せな光景過ぎて。

あとゲンドウが列車の中でシンジに「大人になったな」っと言うシーン。望んでいた結末にやっとたどり着けたことに安堵してめちゃくちゃ泣いてしまったけど、私よりもっとエヴァに思い入れがある人が見たら死ぬほど感慨深いんだろうな…

 

全てのキャラが収まるところに収まったという感じで、本当に良い最終回だったと思います。ミサトさんはあんなところで死なないでちゃんと息子と向き合えよという感じですが、まあいつもノリで突っ込んで何とかしちゃう人だから死にざまもあんな感じがふさわしいのかもなとも思ったり。それにしても息子に「加持リョウジ」ってつけるのはどうなんですかね…Qの居酒屋ネタやミサトさんの声真似ネタはもう当分擦られなさそうですけどその代わりに息子ネタでひとしきりネタにされそうな気がしますね(未来予測)。

それにしても「エヴァは難解そうに見えて本質は人と人とのつながりの話」という事前知識なしでいきなり見たら「何だこれ?」ってなってたかもしれないし、こんな時ばかりはTwitterに感謝ですね。(Twitterのせいで見方が歪んでると言えなくもない)

 

アスカとケンスケがくっついたのは賛否ありそうですけど個人的にはさもありなんと言う感じです。そりゃ14年も経ってればそういうこともあるよ。ていうか2、3人別の男と付き合っててもおかしくないって。

個人的にカップリングという基準で作品の評価を決めるのはどうなんだと思ってる人間なので、本人同士が幸せなら別に何も口出しすることはないですね。同様の理由でシンジとマリも別にいいんじゃないかと思います(というか実際付き合ってる確証はないしね)。

そもそもヒロイン論争みたいなものってあんまり好きになれないんですよね…明確にヒロインたちが主人公に好意を持ってるラブコメとかならまだしも、ポケモンとかエヴァみたいな作品で誰が主人公とくっつくかを論じることはあんまり意味がないと思うんですけど…どのヒロインが好き?みたいなことならともかく…

まああまりにも唐突にぽっと出のヒロインに主人公をかっさらわれる、みたいなのは私もちょっとどうかと思いますが。

 

ちょっと話が脱線しましたけど、まあとにかく面白かったし、今までエヴァを敬遠してた人たちにも薦めたい作品だと感じました。私も新劇場版を一度見返したいと思いますし、テレビシリーズと旧劇場版も見てみようと思います。

 

マイリトルゴート面白かったねというオタクの呟き

 

マイリトルゴート面白かったです。

見てない方はTwitterのリンクから飛んで見てください(ちょっと新規登録がめんどくさいです)

 

正直暴力描写とかかなりあるので人を選ぶ作品ではありますが、刺さる人には刺さります。私は結構刺さりました。

なんといってもこの作品、血と臓物をスラム街のドブに溜まってる水で煮詰めたのかと思うくらいの地獄っぷりなんですけど後味がなぜかやたら爽やかなんですよね。

それというのも里見監督の構成がめちゃくちゃ上手くて、何回もいい意味で期待を裏切ってくれるんです(裏切られた先の着地点がまた地獄なわけですが)。

観客の感情のコントロールが巧みなので、目を覆いたくなる光景にも関わらず引き込まれて目が離せなくなっちゃうんですよね。

 

ここからはネタバレになりますが、簡単に展開を説明すると、

 

まず画面に映るのが、オオカミの腹の中から次々と出てくる溶けかけの仔ヤギたち。しかも1匹はもはや原型のない状態で腹の中に取り残されたまま……

そんなショッキングな出だしの後、お母さんヤギが1人の子供を連れて家に帰ってきます。

 

ヤギのフードを被せられてはいるけれど、この子はどう見ても人間の子供。

取り残されたままの”もう1匹”の代わりに、この子はヤギたちのお家へ連れてこられたというわけです。

この時点でもうだいぶ異常さがひしひしと伝わってきますが……

お母さんヤギの話し方が「どこにでもいる普通の母親の声」って感じなのがまたいい味だしてますね。もう完全にこの子を自分の子だと認識してる。

そしてお母さんが去った後、現れる6匹の仔ヤギたち。1匹を除いて皆オオカミの胃の中で溶かされたせいで、ふわふわの毛は抜け落ち肉が剥き出しに……一見すると完全にクリーチャーと化してます。

普通だったらこの後、仔ヤギたちからどうやって逃げ出すかという話になります。でも、この作品はそれだけで終わらない。

 

面倒なので細部は省略しますが、いろいろあって人間の子供と仔ヤギたちは心を通わせます。

照明も恐ろしさを強調する赤っぽい色から、月の光が差し込んでいるかのような優しい色に変わり、仔ヤギたちの不気味さではなく哀れさや痛々しさを表現します。

自分の被っていたフードを、最も後遺症の酷い仔ヤギに被せてあげる子供。

そこで一瞬だけ映る、子供の痣だらけの腕。

あれ?この子もしかして……と考える暇もなく、いきなりオオカミ襲来イベントが始まります。

慌てて戸棚や額縁(?)や瓶の中(⁉)に隠れる仔ヤギたち。ここ、羊毛フェルトならではの表現で面白いと思いました。

 

隠れる暇もなく、無慈悲に開く扉。

ここで観客の緊迫感もクライマックスに達します。

 

……しかし、入ってきたのはオオカミではなく、人間の大人の男性でした。

どうやら、迷子になった子供を迎えに来たようです。

緊張から解放されて、観客もほっとひと安心……

 

……あれ?そういえば……

 

少し前に何か不穏なものをみたような……

 

そこで観客は、今までの地獄がほんの入り口でしかなかったことに気づくわけです。

 

 

この後の展開はちょっとここでは言えないので言及はしないでおきますが、とにかく観客に不快感を催させる描写が上手いこと上手いこと。

羊毛フェルトでここまで人間に嫌悪感を抱かせるものが作れるんだ!!ってちょっと感動したくらいです。

 

確かにね……オオカミってそういう用法でも使われるよね……うん……

あと最後の最後で半ケツが出てたのも最悪過ぎて笑っちゃった。もう比喩表現とかじゃなく”それ”しかないじゃん。

 

まあなんやかんやでハッピーエンドで、子供は仔ヤギたちと楽しく暮らしていくことになるのですが……最後が不穏過ぎてまったくめでたしめでたしという気になれないんだよなあ……

 

そんなわけでとにかく闇が深い。深すぎる作品です。

でも子供の幸せとは何かとか、見た目だけで怖がってはいけないとか、悪い大人はそれとわかる見た目をしていないので気をつけましょうとか、考えさせられる作品でもあります。

お母さんヤギがやったことは完全な誘拐ですが、結果的に子供にとってはその方が良かったのかもしれません。もちろん、罪を償う償わないは別の問題として。

でもまあ個人的に、愚かな人間はオオカミの胃の中で半死半生になるまで溶かした後、穴という穴に石を詰め込んで水に沈めてもまだ足りないくらいだと思ってるのでそちらの件については全く無罪ですが!!

 

そんなわけでモルカーの監督だからということでマイリトルゴートが気になってる皆さん、見て損はないですよ。

モルカーみたいなの期待して見に行くと生きて返ってこれないかもしれませんが。

 

とりあえず言いたいことはこんな感じです。

長々と読んでくださりありがとうございました。

 

劇場版ポケットモンスターココが良すぎて存在しない息子を腹を痛めて生んだような気がしていた女の話

お久しぶりですまいくです。

 

放置してたブログを無職になったついでに再開してみることにしました。

まあ大したことも書けないし更新頻度はのんびり目ですが、気が向いたらお付き合いいただければと思います。

 

さて表題の劇場版ポケットモンスター『ココ』ですが、『キミにきめた!(2017)』、『みんなの物語(2018)』の流れをくむ新機軸の作品です(タイトルロゴの形状が同一)。

ミュウツーの逆襲(1998)』から『ボルケニオンと機巧のマギアナ(2016)』までの従来映画との大きな違いは、アニメシリーズの展開から完全に独立した物語であること。

登場するメインキャラクターをサトシとピカチュウに絞り、よりストーリー性を重視した作品群となっています。

 

この大きな改変の意図は、『ポケモン』というコンテンツ自体のファン層が高年齢化していることもあって、より幅広い層を取り込むためだと思われます。

無印アニメ序盤の物語を再構成した『キミにきめた!』や、第一作目の3DCGリメイクである『ミュウツーの逆襲EVOLUTION』などは、一度はポケモンから離れた大人でも再び興味を持つきっかけとなる作品でしょう。

 

新規層の取り込みを重視する一方で、昔からのポケモンアニメファンの間では、アニメシリーズのキャラクターが映画に登場しないことを嘆く声も多々見受けられます(あくまで私の周りですが)。

『サン・ムーン』や現在放送中の『ポケットモンスター(通称新無印)』がアニメとしてすごく出来がいいこともあって、リーリエなどポケモンスクールのメンバーやゴウが登場しないのは確かに私としても非常に残念ではありますが…。アニメにはアニメの、映画には映画の良さがありますし、味付けが違う料理を二種類楽しめると考えればそれも結構楽しいものです。

 

 

さて、前置きが長くなりましたがここから本題の『ココ』の話です(なんか駄洒落っぽくなりましたが)(今更ですがネタバレ注意です)。

 

今回の『ココ』は、前述した2作品に比べてかなり“ポケモン映画”色の強い映画に感じました。

それというのも中盤で登場する動力源不明のクソデカマシーン。

やっぱりポケモン映画ってのは謎の力で浮遊する超技術マシーンと、それに乗る悪の科学者(cv山寺宏一)がいないと始まらないよな!という気分にさせられました。まさに実家のような安心感。

 

しかし今回の悪役・ゼッド博士はポケモン映画に出てくる悪役としてはかなり最悪の部類に入りますね。研究のために人殺しまでするタイプの悪役って、他にあんまりいないと思うんですけどどうなんでしょうか?(実はまだ未視聴作品があるので今度アマプラで全部履修します)

劇中でポケモンを使っている描写がなく、大抵の悪事をメカで行っていたのも、そのあたりの配慮があったような気がします(人殺しにゲットされるポケモンはかわいそうなので…)。

 

あとどうでもいいですが、右を見ても左を見てもポケモンと人間が共存するのが当前というあの世界の価値観の中で、「ポケモンごとき」と自信をもって言い張れるゼッド博士の感性相当貴重だなと思いました…。

あの世界の殺人罪の刑期がどれくらいかわかりませんが(自然破壊とポケモン虐待の方が罪重そう)、出所したら今度はその感性を生かして世のため人のために生きてほしいと願うばかりです。

 

ゼッド博士の話はこれくらいにして、肝心のストーリーの話。

公開前から『大人だから泣けるポケモン映画』というキャッチコピーを打ち出してましたが、噂に違わぬ感動作でしたね…。

なんなら冒頭の『掟の歌』の時点でちょっと涙腺緩んでました。めっちゃいい歌だなと思って…。

今回の涙腺崩壊要因の半分は岡崎体育のせいですよ。だってずるいもん。みんないい歌なんだもん…。

岡崎体育のことをネタ曲ばっか作ってる小太りのおっさんだとか思ってる人がいたら『ココ』のアルバム聞いた方がいいですよ。マジで才能の塊かこの人…ってなります。

サンムーンの曲もみんなどれもいい曲なんですよね…ていうかポケモンの曲って名曲しかない。特に最近のはポケモン世代ど真ん中のアーティストが手掛けているからリスペクトが半端なくて新無印のOPである『1・2・3』の冒頭でゲームボーイの「ピコーン」という起動音がなる演出とか鳥肌もので、あとポケモンの曲と言っていいのかわかりませんが語らないわけにはいかない曲がBUMP OF CHICKENの『アカシア』。これも名曲という言葉では言い表せない歴史的な一曲なので今度『アカシア』については別の記事でゆっくり語らせていただきたいと思います(ここまで息継ぎなし)。

 

特にトータス松本さんの歌う『ふしぎなふしぎな生きもの』は、まさに親の本音を歌い上げた名曲。(ちなみに余談ですがトータス松本さんは現在放送中のNHK連続テレビ小説『おちょやん』でヒロインを借金のカタに売り飛ばす最悪の父親を演じているので、この曲を聴きながら朝ドラを見ると最高の父親と最悪の父親の寒暖差で整って健康になれます)

 

まずタイトルがいいですよね。「ふしぎなふしぎな生きもの」というフレーズは、劇場版の冒頭で必ず語られる、ポケモンについての説明です。

そのフレーズを自分の血を分けた子供に対して使うのが心にくいじゃありませんか。

ポケモンも子供も、自分とは全く違うふしぎなふしぎな生きものだけど、その生きもののためならどんなことでもできるという深い愛情を感じますよね…。

 

私もこの曲を劇場で聞いた時、息子との楽しかった思い出がありありと思い出されました。

お腹の中にいた時から、元気すぎて寝かせてくれなかった息子。

産まれるときは難産で、半日近くかかってようやく出会うことができました。

ワンオペ育児で心身ともに疲れ果てても、子供の寝顔だけが唯一の癒しでした。

家の中はいつしか子供のおもちゃでいっぱいになって、新築の家もどんどん傷だらけになっていって。

幼稚園に馴染めるか不安だったけど、たった1日でたくさんのお友達ができて驚きました。

小学校では忘れ物が多いといつも叱ってばかりでしたね。

中学生になるとあまり口をきいてくれなくなったけど、一度だけ誕生日にお手紙を送ってくれたね。今でも大切にとってあります。

高校生になったあなたはこんなに大きくなって、私の身長をすっかり追い抜いてしまって…。

そしてこの春から、大学生になる息子へ。

 

この18年間、楽しいことも大変なことも、いろいろなことがあったけれど幸せでした。

産まれてきてくれてありがとう。

 

 

ただ、1つだけ言わせてもらえるなら…。

 

 

 

私、子供いないんですよね…。

 

 

おしまい

 

(再開1発目のブログが人殺しのおっさんと小太りのおっさんと非実在一親等の話で終わっていいのか???)

 

 

 

すべてのポケモン好きが見るべき映画が公開されてしまった 〜名探偵ピカチュウ感想〜

こんばんは、まいくです。

最初の記事からだいぶ間が空きましたが、未だにぽつぽつ訪問してくださる方もいて嬉しい限りです。

さて、今回は名探偵ピカチュウを見てきたのでその感想を述べていきたいんですが…


いや面白すぎるな!?


評判が良いのは知ってたけど、まさかここまで楽しませてくれるとは驚きです。
ポケモンという生き物が存在する世界観、謎解きやアクションのワクワク感に親子の絆、男女の恋愛まで詰め込んでくるまさにエンターテインメント超大作!!

何よりピカチュウを初めとするポケモン達が皆可愛い&かっこよすぎて…
随所に散りばめられた小ネタに、往年のポケモンファンならニヤリとさせられること間違いなしですね!


ちなみに私のポケモン歴は、シリーズ2作目である金・銀から最新作までほぼ全シリーズを遊び続けているので(マイナーチェンジは未着手のものもありますが)かれこれ20年になるでしょうか。

もちろん筋金入りのポケモンマニアたちには及びませんが、私も809種類(2019年5月8日現在)のポケモンのほぼ全ての名前は知っていますし、それなりのポケモンファンではないかと自負しています。

私のような長年のファンのみならず、昔ハマっていたけど大人になってポケモンを卒業してしまった人、そもそもピカチュウ以外のポケモンの名前を知らない人、最近ポケモンGOの影響でポケモンを知り始めた人、全ての人に見てほしい映画です。


それでは宣伝はこのくらいにして、以下ネタバレを含んだ感想ですので未見の方はご注意ください。




  • 最高だったところ

全てです。と言いたいところですけど、それだとこの話終わっちゃうので…


まず、何よりも当たり前にポケモンがそばにいる世界観の描き方が素晴らしい。
街中で普通に人々がポケモンを連れ歩く光景って、アニポケとかで見慣れてはいるけど実写だとより感激する…!

田舎町でも、ニューヨークに似た都会でも、当然のようにポケモン達が闊歩し、人間と手を取り合って生きている。

もう正直この光景を見られただけでポケモンファンとしては100点満点です。これだよ視聴者が求めていたものは!!


ポケモン達の造形も、最初は不安もありましたがスクリーンで見ると全く違和感ありませんでしたね。
リザードンフシギダネキモリなどの皮膚はだいぶ爬虫類よりのリアル路線なのですが、動きに愛嬌があるせいか、すんなりと受け入れることができました。

むしろキモリがガラスに貼り付いて休んでる所とか、アニメやゲームでは実感しにくい生態が垣間見れて良かったです。


ていうかかわいい。
ゴロンダに甘えるヤンチャムも割とリアルな泣き声を上げるカラカラも若干キモめなベロリンガも鳥感マシマシなピジョンワシボンウォーグル達も警察官の後ろを誇らしげに歩くガーディもなんだかちょっと小憎らしげなバリヤードも変身すると目が点になるとこまで忠実に再現されたメタモンもヒロインのリュックに背負われてるコダックも…もう皆かわいすぎる。

個人的にベストオブかわいいは、森でひょこっと出てきたフシギダネ達ですけどね。
ティムの言葉がわかってるのかわかってないのか読み取れないところとかもう殺人的にかわいい。そのあと大勢で出てくるところも超かわいい。ダネちゃんかわいいよダネちゃん

ああやってポケモンがぞろぞろ群れを成して出現すると個人的にはあの超神ゲーポケモンスナップを思い出してしまうのですが…(ポケスナのフシギダネちゃんもかわいい。でもヒトカゲがわらわら出てくるとこもたまらんかわいい…ポケモンスナップ最近のポケモンも追加してリメイクしてくれ頼む)

ポケモンスナップの話を始めるとそれだけで1つ記事が書けるくらい長くなりそうなのでこの辺にしておきますが。

もう5秒に20個くらいかわいいが溢れてる。この世界に生きる全ての生き物が愛おしい…!


ピカチュウパイセンに至ってはあの可愛さであの渋い声…そのギャップに心を撃ち抜かれない人間がこの世にいます?
はぁもうかわいいあんなかわいい生き物を前にしてティムはよくパートナーにしないという選択肢が取れるな私だったら発見した瞬間にもふもふフガフガすんすんしてほっぺたむにむにしてしわくちゃにしてシワの隙間に顔を突っ込みたい…かわいい…


とまあこんな感じで、一度映画を見てしまったからにはあのキュートさのトリコにならざるを得ないというわけです。

(この動画かわいすぎて延々と見てられる…見る合法ドラッグ…↓↓↓)

youtu.be


演出については100点満点中500億点って感じなので良い所を挙げたらキリがないんですが。

特にやられたぁっ!!ってなった大好きなシーンは、超巨大ドダイトスが地面を割りながら登場するシーン。

ドダイトスというポケモンのロマンがこのシーンに凝縮されているといっても過言ではない…!!
ドダイトスって正直歴代御三家の最終進化の中ではちょっと地味なイメージ(好きな方ごめんなさい…!!でも私ダイパの最初の相棒はドダイトスでした)なんですが、実写ならではのこういう迫力ある魅せ方もできるのかと感服しました。

でも動き出したと思ったらすぐに元に戻っちゃうドダイトスくん達ズボラかわいい。


ストーリーについては、ハリウッド映画らしい主人公・ティムの成長と親子の確執、淡い恋、巨悪との対決という盛り沢山な構成となっています。
様々な要素を取り込みながらも、ストーリーを破綻させずにきっちり書ききるのは流石の脚本力ですね。

ちなみに同名ゲームの原作、私はプロローグしかプレイしていないので(有料版もダウンロードしたかったのに気づけば半額期間が過ぎてて結局やらずじまい…)どこまで原作沿いのストーリーかはわかりませんが。

確か原作のティムはもっと少年だった気もするし、トレーナーの道を諦めたみたいな描写はなかったと思うので(ここ曖昧)、実写版はより大人向けにシフトしたのかもしれません。

物語はティムの父、ハリーの行方を追うという動機から動いていきます。
最初はピカチュウのことをパートナーとして認めていなかったティムが、いつしか身を呈してピカチュウを守るようになり、2人は真のパートナーとなっていく…

もうこう書いただけでも最高であることが伝わりますよね!
そうそう、ポケモンってのはトレーナーとポケモンが種族を超えてかけがえのない相棒となっていく物語なんだよな…!!

アニメやゲームだとどうしても絆を深める手段がバトルや冒険になりがちなので、2人で同じ謎を追い求めることで信頼を深めていく作品は貴重だと思います。だけどそれもポケモンと人の多様な在り方の1つなんだよね…!!


そして今作での悪役の目的は、ミュウツーの力を利用してポケモンの体に人の意識を移植すること。
人間がポケモンの力を手に入れれば進化した存在になれる!!的なことを言っていた気がしますが、それで具体的に何をするつもりなのかは語られていません(もしかしたら言及あったかもしれないけどうろ覚え)。
ですが、病気で車椅子生活になった彼にとって、頑健な肉体を持つポケモンは憧れの存在だったのでしょうか?

話はズレますが、黒幕が車椅子の老人だったというのはポケスペ(漫画版のポケモン)のヤナギをちょっと思い起こさせますよね…もしそこまでオマージュしてたなら驚きですが。


だけど、例え人間がポケモンの力を手に入れられたとしても、それはとてもつまらない世界だろうなと思ってしまいます。

やっぱり、ポケモンと人は助け合ってこそ。
もちろん、時にはポケモンの強大な力が人間を傷つけてしまうこともあるでしょう。
逆に、ポケモンを制御しようとして、酷く扱う人間もいます。

それでも、共生の可能性を模索し続けるのが今作のテーマであり、ポケモンという世界における共通した課題なのかもしれません。


とはいえティムの父、ハリーのように望んでもいないのに相棒のピカチュウの肉体を手に入れてしまう人間もいますが…まあ何事にも例外は付き物ってことで。



  • 気になったところ

“名探偵”と銘打っておきながら推理要素が少なかったのはちょっと残念でしたが、ここまで要素がパンパンに詰まってるともう入る余地なさそうですね…

推理を楽しみたいなら原作ゲームで!って割り切るべきなのかもしれません。
ていうかこんなに大々的に映画の宣伝してるのにゲームの方はセールとかしないんですかね…?(もししてたら教えてください)


ポケモンの使い回しを指摘する声もありますが、1匹1匹の造形にどれだけの時間と労力がかかっているのかを想像すると…
ゲームの方でも地方ごとに出やすいポケモンは違いますし、ライムシティではニューラとかエイパムが流行ってるんだよきっと


あと何よりもピカチュウがかわいすぎてストーリーが頭に入ってこないのが大問題!
ピカチュウとティムが父親についてシリアスな話をしているシーンでもピカチュウがかわいすぎて、なんでティムと父親が疎遠になったのかよくわかんなかった…

こるから見る方でストーリーを楽しみたいという人は、涙を飲んでかわいいポケモンたちを見ないようにするか、複数回見に行くかを選ばなくてはなりません。私はもう一度見に行くことを選択しました。



  • その他思ったこと

・最初のカラカラ、あんな原っぱで泣いてたらバルジーナに食われるんじゃないかとヒヤヒヤしたけど、ウォーグルの方が優勢な世界で良かった…

・そういえばワシボンとかウォーグルが登場したのは、やっぱりアメリカだと鷲は身近な鳥だから…なんですかね?(アメリカ合衆国の国章に鷲が描かれているため)


・吹き替え版で見たのですが、アニポケでお馴染みの声優さんがたくさん出演していて非常にニヤニヤしました。ポケモン達の声優さんも。
俳優さんの吹き替えは批判されることもあるけど、今回は皆さん上手くてそこまで違和感はなかったです。(私が仮面ライダードライブの頃から竹内涼真びいきなせいもある)

だけど序盤で出てきた竹内涼真(本人)のポケモン主人公感やばかったですね…日本で実写ドラマする時は絶対主役してほしい(日本でこのクオリティの実写ドラマは無理な気がするけど)


・あと個人的に気になったキャラ。
最初に出てきたティムの友達(cv梶裕貴)!
いや流石に演技上手くて安心して聴けるなーと思ってたんですけど、母親を亡くして父親とも疎遠なティムに相棒として薦めるポケモンがカラカラって…しかも理由は孤独だからって…
人の心がわからないシトロン(アニポケXYで梶裕貴が演じたレギュラーキャラ)かよ…


・エンディングがくっっっっそエモい。この時ほど日本人に生まれて良かったと思った日はない。



というわけで、まだまだ語り足りませんが感想はこの辺にしたいと思います。こうしている間にももう一度見たくてたまらなくなってきました…名探偵ピカチュウは見る精神安定剤

ポケモンに対する思い入れが深い人ほど楽しめることは間違いありませんが、ポケモンを知らなくても十分楽しめるエンターテイメント作品だと思いますので、まだ見ていない方は是非是非見て頂きたいと思います!!

それでは!!

事件はIQではなく拳で解決する時代 〜コナン映画感想

こんばんは、まいくと申します。


文書の練習にブログでも始めようかなーなんて軽い気持ちで開設してはみましたが、書くネタが見つからず放置することはや数日。

まあこういう時は無難に流行ってる映画の感想でも記事にするかーということで、

名探偵コナン 紺青の拳(フィスト)』

見てきました。


で、映画館を出て第一声。

「馬 鹿 じ ゃ な い の !?」

はい。馬鹿です。相変わらず馬鹿なことやってるなこのシリーズは!?って感想が最初に出ましたね、ええ。

推理アニメのはずだよね名探偵コナンって。火薬には人間のIQを奪う成分でも入っているのか…?

というわけで以下、初見勢によるふんわりした感想です。思ったことを正直に書くので気分を害したらごめんなさい。
あとネタバレ注意です。まあ感想ブログに来る人は大半鑑賞済だと思うけど。




- 冒頭のシーンの意味について

物語は、シンガポールの高級ホテルの屋上で重要人物であるレオン・リー社長と被害者の女弁護士(名前忘れた)が会話するシーンから始まります。

女弁護士が注文したワインの銘柄まで言い当て、切れ者ぶりを遺憾無く発揮するレオン社長。(ずっとこのキャラのままでいてくれれば…)

このやりとりの最後でレオンが「君の提案にはNoだ」と言い放ちますが…(うろ覚えだったからもしかしたら逆だったかも)結局この提案とは何だったのだろうか…?

2回目見に行けばわかるかもですが、私は劇場で同じ作品を2回見ない主義なので(単に金欠なだけ)



- レオン社長について

まあネタバレしちゃうと女弁護士を殺害した犯人はレオン社長だったわけですが。

その動機が、シンガポールの街を潰して新しい街を作るってことらしいんですが…どう考えても賠償金の方が高くつくのでは?

その責任を押し付けるためにあの海運会社のボンボンを引き入れたんだと思いますけど…
にしても、現実的に考えて工事を受注できる確証もないのに、街ぶっ壊すってリスキーすぎない?


まあ現実的とか言い始めたら、空手の大会の優勝者に宝石を埋め込んだベルトを贈呈するって時点で大概頭おかしいですけどね。(天下の鈴木財閥じゃないんだから)

コナン映画は時たまとんでもない動機で事件引き起こす犯人が出てきます。ゴッホの偽物が許せなくて飛行機を爆破したり、シンメトリーじゃない建築物を片っ端から爆破したり…
だけど今回の社長はそういったレジェンドクラスのインパクトもありませんでしたね…
弟子だけでなく小物感溢れる海賊たちにすら裏切られるという…ただただ残念すぎる犯人…

- そして超主要キャラ、京極真。

この人については戦闘力が反則的ですからね。野放しにしてたら悪い奴全部倒してはい事件解決となりかねない。
それではドラマ上困ると、戦闘力を抑えるために考案された手段が…

ミ、ミサンガ???

しかもレオン社長の意味深クソバイス付き。

いやいやいやいや。
そんなんでこのチート止められるわけないでしょ。
劇中最強キャラとの呼び声高い京極真だよ?
いくら大好きな園子さんが傷ついたからって、そんなので止まるはずが……

止まっちゃったよ!?

えっ?嘘でしょ?
そんなクソ社長の「心·技·体が備わるまで拳を封印すべきだ…」とかいうふわっとした助言で心乱されるほど精神弱くないよね???

…いやでも純粋な京極さんのことだ、レオン社長の姑息な暗示的な何かにかかってしまったのかもしれない。
ミサンガが切れた瞬間すぐ戦闘力が復活してるし。このミサンガ実は100kgくらいあるのでは…?


しかし、脚本上京極さんの力を削ぎたかったのはわかりますが…
もう少し他の手段があったんじゃないかなと思ったり。
それこそ園子が人質に取られるとか、敵の卑劣な作戦で怪我をするとか、なんなら謎技術で拳を振るうと園子が苦しむ装置とか作ったら良かったんじゃないですかね(適当)

まあ復活してからの京極さんはやっぱクソ強で痺れまくりだったから別にいいんですけどね。
コナンはアクション映画だった(今更)…?

- 全体的な感想

特に終盤、敵側の立場の変遷が激しくてちょっと現状を把握しにくい感じでしたね…
結局今危険な場所はどこなのか、誰が誰と対立しているのか、もう少し時間をかけてはっきり観せてほしかったかも。


なんだか悪い部分ばっかり指摘してしまいましたが、良い所も褒めたいと思います!

個人的にはリシくん好きです。褐色細目はずるい。
終盤で目が開くのいいですよね…細目のロマンが詰まってる…

あとコナンとキッドの掛け合いも魅力的でしたね。普段は宿敵の2人が共闘する展開はアツいと古事記にも書いてある

あと実在の場所をあそこまでぶち壊す許可をくれたシンガポール観光局、あまりに寛容すぎる。
まあ宣伝にはめちゃくちゃなってますけどね…ちょっとシンガポール行きたくなりましたもん。EDの街並み綺麗だし。

だけどあの例のホテルの船っぽい上部を爆発させて、水に浮かべようと思いついた奴は相当な馬鹿だと思います。思いついてもやろうとするな。そして許可を出すな。


でもそういう荒唐無稽さがコナン映画の魅力でもあるわけで…そういう部分ではかなり楽しめました。
最近のコナン映画は良作が続いていたので、久しぶりにツッコミどころ満載な作品が出てきてくれて嬉しい限りです。

そんなわけでとにかくかっこいい京極さんとか怪盗キッドが見たい人にはおすすめな映画でした。


ではまた。